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本の音

本音・・・率直な本の感想。本ノート・・・本の記録として。

某/川上弘美

評価:☆☆☆☆

著者 : 川上弘美
幻冬舎
発売日 : 2019-09-12
主人公は人間に擬態する何者でもない生物。
彼女(最初は)は、自由になりたい人間になる。
一人の人間になる期間も自分で決められて、長い時もあれば短い時もある。
こういう事が知りたいとか、こうしたいというのに都合の良い人間に変わっていく中で、いつしか大切に思う存在を得てー。

大分、癖のある話だった。
好きな人は好きだろうけど、ついていけない人はついていけないタイプの本。
何故癖があるかというと、それは何者でもない生物目線でずっと書かれているから。
急になりたい人になるというのは何で社会的に成立するのか。
彼らのことを人間たちはどう思って、どう見ているのか正常というか、普通な感覚目線がなく、ボーッと分からない人の主観でずーっと書かれているために頭がおかしくなりそうになる。
何となく、言わんとしている事は分かるような気もするけど・・・。

私はこれを読んで、後半に「100万回生きた猫」が思い浮かんだ。
あれの方がダイレクトで全然素晴らしい本だったし、これはちょっと違うんだろうとは思うけど・・・。

この作者の本は初めて読んだけど、全てこの調子なのかな・・・。
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[ 2020/03/04 12:30 ] 何も残らない本 | TB(-) | CM(0)

ツナグ 想い人の心得/辻村深月

評価:★★★☆☆

死んだ人と生きている人の橋渡し役ーツナグ。
彼らに連絡がとれるかどうかは運次第。
死んだ人と会うにはいくつかのルールがあって、
こちらが会いたいと思っても向こうが拒否したら会えない。
会えるのは1日だけで、それも日暮れから朝まで。
だから最も夜が長い満月の日がその日にされる事が多い。
そして、死んだ人に会えるのは死者、生者共に生涯一度だけ。

そんなツナグを軸とした5話。
「プロポーズの心得」
主人公は役者の青年。
彼は想いを寄せる女性がいる。
その女性には亡くなった親友がいて、彼は女性にその親友と会わせようとツナグに連絡をとる。
所が、本人でないという事で拒否され、結局、幼い頃別れた父親と会う事にー。

「歴史研究の心得」
ツナグに依頼してきた人は元校長。
彼は地元に貢献した歴史上の人物に会いたいと言う。

「母の心得」
年代の違う二人の母親が依頼者。
一人は幼い子供を自分の不注意でなくしてしまったと自分を責める母親。
もう一人は年配の女性で、彼女も亡くなった娘に会いたいと言う。

「一人娘の心得」
主人公であるツナグー歩美の知り合いの工房の大将が亡くなる。
大将の娘は父の仕事を継ぎたいと思っているが、父は自分では力不足だと思っていたのでは?と悩む。

「想い人の心得」
何度も死者に拒絶されている80代の男性が依頼者。
彼が会いたいと思っているのは、若い頃に勤めていた料亭の娘さん。

間違いなくいい話だと思う。
ただ、こういう本を読むモードでなかったため、どうも話に入りこめなかった。

このタイトル、何か聞き覚えあるな~と思ってたらやっぱり。
どうも、この本は続編らしいけど、私は最初のは読んでない。
それでもこれ単体で十分読めた。
多分、最初と最後の話は先に出た本にも描かれているんだろうと思う。

色んなパターンが描かれているのが良かった。
こういう形態なら、どれも死者に会って希望をもらったり・・・という話だと思うけど、実は死者が思ってるのと違っててそれでも良かったとか、中には死者と会わない話もあったりした。
それに、お互い会って思いが変るのは生きてる方だけでもなく、死んでいる方も生者に会ってホッとしたり・・・。
繊細な感覚で描かれていて読後感の良い本だと思う。

ジャンル : 本・雑誌
テーマ : 読んだ本

[ 2020/02/22 11:35 ] 辻村深月 | TB(-) | CM(0)

彼女はもどらない/降田天

評価:★★★☆☆

手がけた雑誌の広告がネットで炎上したため、ポストを追われた編集者の女性。
彼女はその苛立ちを、目にした人気ブログのコメントにぶつける。
そのブログとは、自分の娘の衣装を制作する男性のもの。
男性は妻が入院中で娘を実母に預けて働く公務員。
彼は批判的なコメントに腹を立て、女性にネット上で報復を始める。

この作者の本は初めて読んだけど、どうも少しずつ、感覚のズレを感じた。
文章もくどい所があり、何となく読みづらかった。
結末的には、ああ、そうだったのか・・・と思わせるものだったけど、こうも色んな方面から攻撃され、それがつながっているというのも出来過ぎだな・・・とも思った。
それよりも、もっとネット上の過激なやりとりが見たかったというのがあるし、そこからの対決が見てみたかった。
序盤の方が期待度が高く面白かった。

この物語の主な登場人物の男女は、二人共真面目に仕事をしている普通の社会人なのに、ちょっとした事で攻撃的になってしまう。
その様子を見てると、ストレスのたまりやすい社会だな・・・と思う。
ネットが普及し、便利になって、その分、生活に余裕が生まれたかというとそうでもなく、不思議に心も生活的にも余裕がなくなっている。
だからって、知りもしないし、自分に関係ない人にいきなり攻撃的なコメントをしたりする、さらに、それに応報するというのは幼稚なやりとりだな・・・と思った。

ジャンル : 本・雑誌
テーマ : 読んだ本

[ 2020/02/20 23:06 ] 未分類 | TB(-) | CM(0)

暗黒女子/秋吉理香子

評価:★★★★

お金持ちのお嬢様が通うカトリックの女子高校。
その経営者の娘でカリスマ性のある白石いつみが亡くなった。
彼女は学校内で転落死。
その際、スズランの花を手に持っていた。
いつみの死後、彼女が作った文芸クラブの面々が集まり、闇鍋をしながら自作の小説を披露するという会が催される。
それぞれの持ち寄った小説の中で、亡くなった白石いつみと彼女についてのそれぞれの思いが語られる。
果たしてこの中に、いつみを殺した犯人がいるのかー。

読む前にタイトルと作品紹介から大体の内容の想像をしていた。
だから、読み進めていて「おや?」となった。
大体、これなら亡くなった女子高生は裏の顔があって、文芸クラブのメンバーに恨まれていたんだろう、そして、犯人は誰か?という内容だろうと思いきやー。
それが、いちがいにそうでなく、文芸クラブのメンバーは皆いつみの事を崇拝していたような事を言っている。
それなら何故ー?と、読み進める毎に興味が惹かれた。
それに、当事者が違えばこれほど見えるものが違うのか・・・というくらい、彼女たちの話は食い違いがある。
家が裕福でなく、奨学金でこの学校に通うようになった少女は、いつみと彼女の家庭の秘密を打ち明けられるまで仲が良かったと言う。
お菓子作りが得意な下級生の少女は、いつみに誘われてサークルに入る事により、最新の器具でお菓子作りが出来た。
留学生の少女はいつみに心酔していたし、理知的な女性は留学生の少女がいつみに危害を及ぼすのでは・・・と心配していたり、プロの小説家の少女もいつみの事を慕っていた。
そして、誰もがいつみを殺したのはこの中の誰かだと思っている。
そして、この会を主催した、いつみの親友の少女ー。
何が本当なのか、誰が犯人なのか・・・。
読めば読むほど謎が深まる。
相変わらず文章も読みやすく、あっという間に読めた。
ただ、読み終えて見ると、真相はあっと驚くというほどのものではなかった。
あれだけ面白く読めたから、結末ももっと、面白くできたような気もする。
それにしても、これ、ゴシック調の建物やお金持ちばかり、美少女ばかり、という事で映像化したら映えるだろうな・・・と思った。

ジャンル : 本・雑誌
テーマ : 読んだ本

[ 2020/02/19 17:30 ] 秋吉理香子 | TB(-) | CM(0)

婚活食堂/山口恵以子

評価:★★★☆☆

元占い師で、人のオーラのようなのが見える女将が営む食堂ーというかおでん屋に集う人々の物語。
全5章。

1章「結婚してない女たち」では、主人公が占い師から食堂を営むようになったいきさつ、常連客の紹介がされた章になっている。

「幸せになりたい女」
常連客で婚活中の女性が見合い相手を連れて食堂にやって来た。
その相手の男性にはどす黒い影がー。

「母に愛された女」
常連客の仲良し親子。
母親は娘に良い縁談があればと願っている。
娘は美人で若く、その気になれば良い縁があるはずなのに、人見知りな性格が災いして婚活がうまくいかない。
それで、相談された主人公は銀座でお試しで働く事を勧めるが、その結果ー。

「高嶺の花の女」
食堂の常連客で高嶺の花の女性ー有名な美容外科の娘でお金持ちのバツイチ女性がミュージシャンに熱を上げる。
その話に危ういものを感じた主人公は、本人が知らない内に話を破談にもちこむ。

「結婚を選んだ女たち」
3章の親子の、親の方の恋愛話と主人公にも恋愛の兆しが・・・という話。

最後の話の後に、この食堂で出されている料理のレシピが紹介されている。
料理のことを書いてある文章がすごく生き生きしていて、美味しそうだった。
読後感も良く、さらっと読める。
深くささる事もない代わりに、嫌悪感もない、感じの良い本だった。

ジャンル : 本・雑誌
テーマ : 読んだ本

[ 2020/02/17 16:19 ] 未分類 | TB(-) | CM(0)